FX詐欺の被害にあったらどう返金させる?返金できない場合や集めておくべき証拠について

FXとは「Foreign Exchange」の略で、「外国為替証拠金取引」を意味します。
取引そのものは金融商品取引法で認められた合法的な投資であり、FX口座が開設できる成人であれば誰でもできます。
100円程度の少額から始められることや、副業を認める企業が増えてきたことなどを理由に近年人気がある投資のひとつです。
しかし、FX投資する人が増えると同時にFX詐欺被害件数や相談件数も増えています。
今回はFX詐欺被害に遭った場合の返金方法や返金請求のために集めるべき証拠の具体例などについて、自分でできることをまとめました。
【この記事でわかること】

  • FX詐欺被害の返金方法
  • 返金が難しいケース
  • 被害回復のために集めるべき証拠

編集部
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FX詐欺の被害にあったらどうやって返金するの?


FXの仕組みは、日本円で外貨を購入し値上がりしたタイミングで売却することで差額分の利益を得るというシンプルなものです。
しかし、近年FX投資の必勝法を教えるセミナーを開催すると嘘をついてお金を集めたり、偽の口座を開設させ入金させるなどの「FX詐欺」被害が問題になっています。
FX詐欺被害に遭ってしまったら、以下の方法で返金による被害回復を図りましょう。

  • 弁護士による内容証明郵便を送付して交渉する
  • 詐欺被害の訴訟を行う
  • 振り込め詐欺救済法を活用して相手の口座を凍結する
  • 被害届から控訴して示談に持ち込む

弁護士による内容証明郵便を送付して交渉する

FX詐欺に遭ってしまったら、気づいた時点ですぐに弁護士に相談しましょう。
詐欺師はターゲットに気づかれたとわかると、すぐに行方をくらまし連絡が取れなくなるケースがほとんどのため、自分でなんとかしようとしても逃げられてしまう可能性が高いのです。
まだ相手と連絡が取れる状態であれば、弁護士による内容証明郵便を送り返金を求められます。
内容証明郵便に法的な支払い強制力はありませんが、「差し出した日時、差出人、宛先、内容」の記録が残るため警察の捜査や裁判の際証拠になります。
内容証明を送ることで、「今後訴訟も視野に入れている」意思を明確に伝えることや、「相手に心理的圧迫を与える」ことで返金の可能性が上がるでしょう。

詐欺被害の訴訟を行う

内容証明を送付しても返金に応じない場合は、訴訟を起こすという方法もあります。
民事訴訟や支払督促といった法的手段を用いることで、返金の強制執行申立てが可能な場合もあります。
刑事告訴した場合には相手に刑罰の執行が言い渡される可能性があるため、厳罰と返金どちらも希望しているのであれば刑事告訴を検討しましょう。
ただし、詐欺被害の訴訟のためには、相手の名前や住所がわかっており連絡がつく必要があるため、すでにFX詐欺師が行方をくらました後では難しい場合があります。
そこで民事訴訟と刑事告訴のどちらにするか、詐欺師に何を求めるのかを弁護士に相談し、返金の可能性が高い訴訟について一緒に考えてもらいましょう。

振り込め詐欺救済法を活用して相手の口座を凍結する

FX詐欺被害の一部でもいいから返金を希望するという場合は、「振り込め詐欺救済法を活用」しましょう。
この法律が適用されると対象の口座は凍結され、口座の持ち主であっても引き出せなくなります。
その後、警察と金融機関によりその口座が詐欺犯罪に利用されたと認められると、口座の残高と被害者の人数により被害金が支払われます。
適用には、日本国内の金融機関の口座にお金を振り込んでおり、残高がある状態が必要ですので被害にあったらすぐに手続きすることで被害金支払いの可能性が高くなるでしょう。
また、同じ口座に複数の被害者が振り込みをしていた場合には、被害金は被害者の人数とそれぞれが振り込んだ金額に応じて変わりますので、振り込んだ全額が返金されないことを覚えておきましょう。

被害届から控訴して示談に持ち込む

詐欺被害の相談には、警察を思い浮かべる人も多いでしょう。
警察は独自の権限で事件の捜査や犯人逮捕による身柄の確保ができます。
身柄が確保できれば、弁護士に代理人になってもらい法的に返金や慰謝料の請求ができます。
また裁判を望まない場合は、控訴した状態で相手にプレッシャーをかけ示談に持ち込むことも返金を求める場合には有効な手段になるでしょう。
そのためにはまず警察に被害届を受理してもらう必要があります。
被害届の受理には、「FX投資のなかで騙されてお金を取られた」という証拠が必要になります。
自分では証拠だと思っていても、警察では証拠能力がないと判断されることも多く、被害届の受理のハードルは高いと言われていますので、どんな証拠が揃っていれば受理されやすいのかなどを弁護士に相談しておくとよいでしょう。

クレジットカードのチャージバックなどを使う

FX詐欺被害には、自動売買ツール商材やセミナー受講費の名目でお金を騙し取る手口が多く、これらのケースではクレジットカードのチャージバックやクーリングオフといった制度が利用できる可能性があります。
チャージバックとは、クレジットカード利用代金請求の取り消しをカード会社に求める手続きのことで、クーリングオフ制度の利用ができない場合でも利用できる可能性があり、被害の回復手段として有効です。
手続きには詐欺に遭ったという証拠が必要で、カード会社が調査した結果で判断されます。
悪質な広告や違法な表記の商品であることや、実在しないセミナーであるなどの証拠をできるだけ多く集めて提出しましょう。

FX詐欺で返金が難しいケースは?当てはまらないかチェック


FX詐欺被害の返金は、自分で交渉してできる簡単なものではなく警察や弁護士に協力を頼まなければ難しいでしょう。
さらに、専門家に依頼したとしても以下のような状況では返金が難しいと言われているため、自分のケースについて当てはまるかチェックしましょう。

  • 詐欺師の情報が不十分である
  • 被害がわかってからかなり時間が経過している
  • 詐欺にあった証拠が不十分である

詐欺師の情報が不十分である

FX詐欺師に直接返金請求するためには、最低でも本物と断定できる「名前(事業所名)」「居住地」「連絡先」が必要です。
偽名や架空の住所の情報しか持っていない場合には、内容証明の送付もできないのです。
個人情報を調べるためには、探偵に依頼するなどの方法もありますがFX詐欺はグループ犯であることが多く、簡単に身元を調べすのは難しいため高額な費用がかかることが予想されます。
結果返金額よりも調査費用の方が高くついてしまうかもしれません。

被害がわかってからかなり時間が経過している

銀行口座に振り込んだお金は、詐欺だと気づかれると「振り込め詐欺救済法」により引き出せなくなる可能性があります。
それを知っている詐欺師は、お金を入手したらすぐに別の場所に移動すると考えられます。
振り込め詐欺救済法による被害金は口座の残金から支払われますし、訴訟を起こして裁判で強制執行の判決が出た場合でも詐欺師に支払うお金がなければ返金自体が不可能なのです。
そのため詐欺被害発生から時間が経過してしまった場合には、詐欺師の手元に回収できるお金が残っていないと考えた方がいいかもしれません。

詐欺にあった証拠が不十分である

弁護士に返金請求を依頼する場合と警察に被害届を提出する場合、どちらも「お金を騙し取られた」という証拠が必要です。
例えば「友人を介して紹介された人からFXのセミナー受講を勧められ、その場で受講料を払って口頭で受講人場所を聞いたが当日現地に行ったらセミナー自体がなかった」というケースでは、残炎ながら証拠が存在しませんので返金はまず不可能だと考えられます。
お金に関するやり取りの際は、親しい間柄でも何かしらの事実証明を持っておくことをおすすめします。

FX詐欺の被害を回復するために集めるべき証拠について


FX詐欺被害を回復するためには具体的にどんな証拠を集めたらいいのでしょうか?
わかりやすく以下にまとめましたので参考にしてください。

  • 詐欺師の個人情報などを集めておく
  • 被害を受けたのがわかるような情報を集めておく
  • 事実の経過がわかるような資料やログを集めておく

詐欺師の個人情報などを集めておく

先述したように、返金請求には詐欺師の情報が不可欠です。
本名や住所がわからない場合は、勤務先や実家の住所など少しでも個人情報につながる情報を集めましょう。
自動売買ツールなど商材についての資料や、セミナーのパンフレットなどに記載されている名前や連絡先は偽物のことがほとんどですが、中にはメールアドレスだけは本物という場合もありますので情報漏れがないように拾っておきましょう。
直接やりとりしていた場合は、メッセージの送信元が特定できるか検索をかけてみることをおすすめします。

被害を受けたのがわかるような情報を集めておく

銀行口座にお金を振り込んだ明細書や、現金手渡しを要求してきたメールの文面など、実際に被害を受けたとわかる証拠は必ず押さえておきましょう。
商材購入の場合は契約書や領収書があれば保管しておき、電子マネーなどの場合は支払い履歴をスクショして印刷するか保存していつでも提出できるよう要しておきましょう。
証拠としては「日時、お金の振込先、金額」が明確に記載されていることが大切です。

事実の経過がわかるような資料やログを集めておく

「いつ誰にどうやって騙されたのか、騙されたこととお金を渡したことに因果関係が存在するか」の証明があれば、詐欺罪を主張できるでしょう。
そのためには、誰とどこでどんな会話をしたのかなど事実経過を詳細にまとめておくとよいでしょう。
その際、やり取りしたメッセージや一緒に撮った写真や説明資料などは保存して、まとめた経過に添付するとわかりやすくなります。
自分が騙されたという現実を目の当たりにする作業のため、辛い気持ちになることもあるでしょう。
そのような場合にも、弁護士に相談し頼ることをおすすめします。

まとめ|FX詐欺で返金するには弁護士に相談しよう


FX投資詐欺において、かなり時間が経過している場合や証拠が不十分な場合には返金が非常に難しいとお分かりいただけたでしょう。
しかし、可能性がないわけではありません。
大切なのは状況を分析して、「何を目的にするのか」「どの方法で請求するか」を冷静に判断することです。
そこで、FX詐欺に精通している弁護士への相談をおすすめします。
法律の専門家の冷静なアドバイスを活用し、一刻も早い被害回復ができるよう行動しましょう。

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