国際ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリを使って出会い、恋愛関係になったと思い込ませ金銭を騙し取る詐欺です。
詐欺のターゲットになるのは20代や30代だと思うかもしれませんが、実は40代・50代がターゲットにされることが多いです。実際に被害に遭った方の中には、60代や70代の方もいらっしゃいます。
また、以前は女性が被害に遭うケースが多かったのですが、最近は男性の被害が増加傾向にあるようです。
「全財産どころか借金まで背負わされる国際ロマンス詐欺とは」＞
どうして中高年が狙われるのか
独身の中高年が「この先ずっとひとりで過ごすのだろうか」と考えることは、珍しいことではありません。しかし、コロナ禍でひとりで過ごす時間が増えると、一人暮らしの場合にはよりいっそう孤独感が増し、今まで以上に今後の生活について考えることが増えたようです。
このことが、この先ずっとひとりでいるのは寂しいという思いを助長させていると考えられるでしょう。
また、国際ロマンス詐欺は、他の詐欺事件と比べて被害額が大きいことが特徴的です。より多くの財産をもつ人が狙われることは自然な流れだといえます。
では、どのような方法で騙されるのか、実際に起きた事例をご紹介します。
1,000万円以上騙し取られた50代女性の場合
Facebookに外国人からメッセージが来て、LINEでやりとりするようになりました。「結婚しよう」「一緒に住みたい」など毎日のように何通も熱烈なメッセージが来るようになり、すっかり恋愛関係になっているものだと思うようになってしまったのです。
相手の男性や、男性の「代理人」を名乗る人からトラブルの解決金や荷物の運送料など、あらゆる名目で金銭を無心するようになりました。女性は、好きだという気持ちや結婚する相手だからと思い、消費者金融から借金してまで何度も送金してしまいました。
500万円騙し取られた40代男性の場合
SNSを通して戦地の軍人だという女性からメッセージが来て、最初はごく普通の会話から始まり、徐々に「幼い頃に両親を亡くして施設で育った」など身の上話となり、そのうち「パートナーになりたい」「日本で一緒に住みたい」など恋愛関係を思わす熱烈なメッセージが多くなり、すっかりその気になってしまったそうです。
しかし、ある日突然女性が病気になり、「手術費が足りないから助けてほしい」や「日本で一緒に住むために軍を辞めたいけど、諸費用が払えないために辞められない」など次々に助けを求めてきたのです。
軍の身分証の画像が送られてきたことから、すっかり信じ込んでしまい、送金を続けてしまったようです。
250万円騙し取られた40代女性の場合
Instagramを通して、軍人である男性からメッセージが届いたことから始まりました。連日のように何通も「会いたい」「君しかいない」など熱烈なメッセージが届き、すっかり恋に落ちてしまったようです。
メッセージももちろんですが、Instagramの写真に一目惚れだったといっても嘘ではないほどだったそうですが、後になって考えるとその写真は本人かどうかはわからないとのこと。プロポーズされ、まったく疑うことなく結婚するものだと信じ切っていました。ところが、突然連絡が途絶えてしまいました。
不安に思っていたところ、「銃撃戦で大ケガを負ってしまい、手術のお金を送って欲しい」と言われ、何度かに分けて郵便局から送金しました。最後は郵便局の職員が不審に思い、声をかけ警察に通報したことで国際ロマンス詐欺であることが判明しました。
送金すると、相手の男性は感謝を伝えるとともに「君を一生離さない、大切にするよ」と以前にも増して甘い言葉を送ってきました。日本人男性から言われたことのない熱烈な言葉に、さらに気持ちが高まり、役に立てるならと送金をしてしまったようです。
なぜ中高年はここまで騙されてしまうのか
とにかくメッセージがマメで、連絡をとっている間にマインドコントロールにかかってしまう事が国際ロマンス詐欺の怖いところです。
また、熱烈な甘いメッセージに慣れていない場合、会ってもいないのに相手のことをさらに好きになり、詐欺と疑わないどころか周囲から指摘されても受け入れられないようです。
金銭を要求された場合には、一度冷静になってよく考えることが大切です。
まとめ
日本人はハッキリと「No！」と言わないことや、騙されたことに気づいた時も「騙された自分が悪い」「恥ずかしい」と思う気持ちが強く、なかなか表沙汰になりにくいということも国際ロマンス詐欺が増加している一因と考えられます。金銭を要求されたら、まずは冷静になり、少しでもおかしいと思ったらすぐに弁護士に相談してください。
日本では弁護士に相談することに敷居の高さを感じる方が多いですが、騙される前に相談することは可能です。
国際ロマンス詐欺に精通した弁護士であれば、多くの事例に関わってきているので、明らかに詐欺である場合はもちろんですが、明らかに詐欺ではないというケースもわかります。
実際に不安になって弁護士に相談したところ、まったく詐欺などではなく正真正銘の恋愛であることが判明したケースもあります。これとは逆に詐欺だとわかり、被害に遭わずに済んだ方もいらっしゃいます。
