ビットコイン詐欺の勧誘の手口。身を守るための基礎知識を解説

ビットコインをはじめとした仮想通貨(暗号資産)は、株やFXなどとは違い、まだまだ歴史の浅い資産運用です。それだけに、消費者の知識不足につけ込んだ詐欺も多発しています。

国民生活センターに寄せられた仮想通貨取引に関する相談件数は、2015年には441件に過ぎなかったのに、2018年には3,455件にまで達しました。その後、2020年には2,894件にまで落ちていますが、依然高い水準であることに変わりはありません

出典:【若者向け注意喚起シリーズ<No.2>】情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル

そこでビットコインをはじめと仮想通貨を用いた詐欺の勧誘の手口と、詐欺の被害から身を守るための基礎知識を解説しましょう。

編集部
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ビットコイン詐欺の手口3パターン

最初に、国民生活センターに寄せられた相談を元に、ットコインをはじめとした仮想通貨が絡む詐欺の事例を紹介しましょう。

参照:国民生活センター「仮想通貨に関する様々なトラブルにご注意」

手口1.毎月不労所得が入ってくるというパターン

国民生活センターに寄せられた相談の中に、仮想通貨に関連付けた嘘の投資話がありました。相談内容は以下の通りです。

実は友だちから「人工知能を使って仮想通貨に投資するファンドを1口25万円で買ってくれれば、何もしなくても月5万円が入るよ」という投資話を持ち掛けられたんです。その投資を受け付けている会社に連絡して、50万円振り込んだら、数日後に3万円振り込まれました。

「ちょっとしか運用していないのに3万ってすごくない?」と思って、もうちょっと口数を増やしてみたくなりました。その後、家族から100万円借りて申し込んだんですけど、会社からは「限定数に達してしまいましたので申し込みをキャンセルしてください」と言われたんです。

だったらお金も返してもらわないといけないし、既に払った50万円の分の配当ももらわないといけないんですが、その会社と連絡がつかなくなって、困ってます!(30代女性)

手口2.マイニングを悪用して詐欺を持ちかけるパターン

仮想通貨には「マイニング」といって、データを更新するための計算作業に協力し、最も早く正しい計算を完了させると報酬として仮想通貨がもらえるという仕組みがあります。

優れたコンピューターであれば計算も早くできるし、結果として沢山の仮想通貨を報酬としてもらえるはずですが、その事実を悪用した詐欺話もありました。国民生活センターに寄せられた相談を紹介しましょう。

この前、久しぶりに友人に会ったんです。彼女、目を輝かせながら「海外の会社が仮想通貨のマイニングができるスーパーコンピューターに出資する人を探しているの。3ヶ月で元が取れるし、別の友達を紹介したらボーナスも手に入るよ」という話をしてくれました。

資産運用にはもともと興味があったし「まあ、そこまでいうならやってみるか」と思ったので、彼女に頼んで手続きを進めてもらいました。ただ、100万円払うのは1ヶ月後と聞いていたのに、2週間くらいで「半額は振り込んで、もう半額は私に手渡しをして」と言ってきて、唖然としました。

結局、彼女の話は適当にかわしているから、まだ実際にお金は払っていません。怖くなって色々調べたら怪しい話ばっかりで。どうも、毎日マイニングをしているのと、私にも分け前があるのは本当みたいですが、とても3ヶ月で元が取れる状態じゃなさそうです。その海外の会社には連絡がつくんですが、ちゃんとした契約書をもらっていないから、いつかバックレるんじゃないかと怖くて。どうしたら良いですか?(50代女性)

手口3.嘘のICOを語るパターン

仮想通貨にはICO(イニシャル・コイン・オファリング、Initial Coin Offering)といって、企業が独自の新しい仮想通貨を発行・販売し、資金を調達する仕組みがあります。

これ自体は何ら違法性はないのですが、架空のICOの話をでっちあげるパターンの詐欺もあるのです。

国民生活センターに寄せられた相談を紹介しましょう。

知人からある会社のセミナーに誘われて行ってみました。何でも、知人がSNS経由で別の人から勧誘を受けたらしいです。そこでは「うちの会社は4月に仮想通貨の上場を予定している。権利を買ってお金を払ってくれた人には、トークンを発行して仮想通貨が受け取れるようにする」と言われたんです。

知人を勧誘した紹介者の人も良い人だったし、やってみることにしました。本当は支払いを仮想通貨でやらないとダメだったみたいですが、自分はすぐに対応できなかったので、紹介者の人に100万円払って手続きしてもらっています

契約書や領収書はもらわなかったんですが、ホワイトペーパーがあるから良いや、と思いました。ただ、その後ネットサーフィンしていたら、なんか不安になってきました。その会社、海外にあるらしいけど電話番号がわからなくて。メールを送っても返信がないのってヤバイですよね?(30代男性)

ビットコイン詐欺の勧誘に引っかからないための2つのチェック法

ビットコインなど、仮想通貨がからむ詐欺の勧誘に巻き込まれないためには「持ちかけられている投資の話に不審な点がないか」をチェックするのが最も手っ取り早いです。

たとえ仮想通貨投資の初心者の人であっても、簡単にチェックできる方法を2つほど解説しましょう。

方法1.業者が金融庁に登録されているか確認する

そもそも、日本に住んでいる人に対して、仮想通貨の取引(売買)サービスの提供ができるのは、金融庁に「暗号資産交換業者」として登録されている業者だけです。

登録されている業者の一覧は、金融庁のWebサイトで公開されているので、まずはここをチェックしてみましょう。

また、金融庁は日本に住んでいる人に対して無登録で仮想通貨の取引サービスを提供しようとする業者に対して警告を発しています。警告を発した業者のリストも、金融庁のWebサイトから見られるので一度確認すると良いでしょう。

参照:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」

方法2.仮想通貨がホワイトリスト入りをしているか確認する

また、取引を持ちかけられている仮想通貨が、ホワイトリスト入りしているものかを確認しましょう。正確には、金融庁の認定業界団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が正式な取扱暗号資産として認定しているものを指します。

なお、JVCEAには改正資金決済法に基づき金融庁に登録された暗号資産交換業者しか加入できません。

そのため、ホワイトリスト入りしている仮想通貨であれば「日本の法律に基づいて運営されている業者が扱う、比較的安全性や信頼性の高い仮想通貨」と言ってもよさそうです。

仮想通貨投資は原則自己責任であるものの

最後に、大事な点に触れておきます。それは「仮想通貨は原則として自己の責任に基づくもの」ということです。

まずは正確な知識を

そもそも、仮想通貨の価値は状況に応じて上下します。ビットコインの価格の推移を見てもわかるように、いつ急上昇・急下降するかは誰にもわからないのです。

その点をわきまえず、損をしたからと言って業者にクレームをつけるのはお門違いといったところでしょう。

また、このような性質を考えると「ICOをするから損になることはない」「大企業・有名企業も認めている」と行ったフレーズが眉唾ものであることがわかるはずです。詐欺に遭わないためには、まずは正確な知識を身につけましょう。

最後の砦は弁護士

もちろん、仮想通貨の性質を熟知した上で投資をしていたとしても、会社と連絡がつかなくなってしまったのでは、どうしようもありません。返金をしてもらいたくても泣き寝入りせざるを得ない、と絶望してしまう人もいるでしょう。

しかし、弁護士であれば、最後の砦として会社と交渉ができるよう、方法を探ってくれます。顧客からの連絡は無視し続けていたとしても、弁護士から内容証明郵便が届いたとたん、事の重大さに気が付き交渉のテーブルに臨む会社も多いのです。

自分ではどうしようもない、と嘆くのではなく、弁護士を積極的に頼りましょう。

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