
2020年初頭から、日本を含めた全世界で新型コロナウイルス感染症が流行し、外出自粛の期間が増えたことは、さまざまな方面に影響を及ぼしています。
マッチングアプリやSNSの利用時間が増えたため、トラブルも散見されています。
仮想通貨詐欺に巻き込まれたものの、犯人が海外に潜伏しているため、泣き寝入りをせざるを得ないという事態もあるくらいです。
仮に、このような事態に巻き込まれた場合、犯人に対し返金交渉をすることは可能なのでしょうか。
仮想通貨詐欺の手口とともに解説しましょう。
仮想通貨詐欺の手口
一口に、仮想通貨がからむ詐欺といっても、手口はさまざまです。
ここでは、代表例に絞って解説しましょう。
手口1.箱物詐欺
箱物詐欺は、以下の流れで行われる手口です。
- SNSやマッチングアプリで仲良くなった相手から「プレゼントを送りたいからあなたの住所を教えて欲しい」というメッセージが届く
- 個人情報を入力した後に「プレゼントを送ったけど税関で止まってしまったから送料を立て替えて欲しい」と持ちかけられる
- その際、税関への費用や送料を仮想通貨(暗号資産)で送るように案内される
手口2.偽の投資話
SNSやマッチングアプリで知り合った外国人から「必ず儲かる仮想通貨投資の方法を教える」と言われて、詐欺を目的としたダミーサイトを見せて入金させようとする手口です。
信頼させるため、最初は少額だけを入金させ、利益とともに出金できるようにするものの、じきに多額の入金を行ったら、そこで行方をくらますのも珍しくありません。
手口3.効果のない情報商材
仮想通貨を含め、投資にはリスクはつきものです。
100%儲かる方法なんてありません。
それにも関わらず「仮想通貨投資必勝法」などの名目で、効果のない情報商材を売りつける形での詐欺も存在します。
ただし、情報商材を売ること自体は合法であるため、被害回復が難しいのも実情でしょう。
海外の仮想通貨詐欺の犯人に対し返金交渉は可能?
仮想通貨詐欺の特徴として、犯人が日本にいるとは限らないことが挙げられます。
SNSやマッチングアプリなど、Web上でのやり取りを通じ持ち掛けられるケースが多いためです。
実際のところ、仮想通貨投資の犯人が海外にいたとしても、返金交渉は可能なのか考えてみましょう。
自力での被害回復はほぼ不可能
自力で詐欺師と交渉し、返金してもらうのはまず不可能です。理由として、以下のことが挙げられます。
- 仮想通貨は足がつきにくい
- 犯人の素性が分かりづらい
- 証拠集めが難しい
詐欺師が仮想通貨での送金を求めてくる理由の1つに、足がつきにくいことが挙げられます。
仮想通貨はブロックチェーン上に全ての情報が記録されるため、取引当事者でなくても取引の流れ事態を把握することは可能です。
しかし、取引の当事者である実際の個人や組織までを特定できるわけではありません。
「誰から誰に送金されたのか」が分かりづらいため、返金交渉も難航します。
また「美女になりすましていたけど、実際は中年男性だった」というように、詐欺師が別の誰かになりすまして犯行を働くことも多く、素性がわかりにくいのも仮想通貨詐欺の特徴です。
本当の名前や見た目すらわからない以上、そもそも誰に対して責任を追求すれば良いのか、どういう証拠を集めれば良いかもわかりづらいでしょう。
警察に相談してもあまり意味がないかも
「自力で無理なら警察に」と思うかもしれませんが、仮想通貨詐欺に関しては必ずしも有意義とは言えません。
つまり、個人的なもめごとに関しては当事者同士で解決をするのが基本であり、警察が介入すべきでないということです。
たとえ、被害届を出した結果捜査をしてくれたとしても、返金交渉は自分でしなくてはいけないのです。
また、警察は慢性的な人員不足に悩んでいる以上、被害届が出された事件についても、優先順位をつけて捜査をしていかなくてはいけません。
海外に犯人が潜入している事件で、証拠集めも難航しそうだった場合は、なかなか捜査に踏み切ってくれない可能性もあると考えたほうが良いでしょう。
弁護士に相談してみよう
解決に向けて一歩前進できるという意味では、やはり弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士であれば告訴をすることができますが、告訴状を受け取った場合は警察は捜査をしなくてはいけません。
被害届とは違い「相談したけどほったらかし」ということはありえません。
また、弁護士であれば、送金してしまったお金を返金してくれるよう、犯人との交渉も代わりに行ってくれます。
たとえ、犯人が海外に潜伏していたとしても、被害に遭うまでの経緯を聞いた上で、どのように交渉を進めれば解決に結びつくかを真剣に考えてくれるはずです。